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長崎地方裁判所 昭和51年(ワ)270号 判決

昭和五一年(ワ)第二七〇号・

松島キクヨ

昭和五二年(ワ)第一一四号事件原告

ほか二名

昭和五一年(ワ)第二七〇号事件被告

中村熊雄

ほか一名

昭和五二年(ワ)第一一四号事件被告

佐藤末広

主文

一  被告中村熊雄及び同中村隆介は、各自、原告松島キクヨに対し金六五九万〇、四二六円、同松島登美子及び同横田和子に対し、それぞれ金四一五万八、〇二六円及び右各金員のうち原告松島キクヨについては金五五九万〇、四二六円に対し、原告松島登美子及び横田和子については金四一五万八、〇二六円に対し昭和五一年七月五日から各支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告の被告中村熊雄、同中村隆介に対するその余の請求及び被告佐藤末広に対する請求をいずれも棄却する。

三  訴訟費用中、原告らと被告中村熊雄及び同中村隆介との間に生じたものは、五分し、その四を被告らの、その余は原告らの各負担とし、原告らと被告佐藤末広との間に生じたものは、原告らの負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  原告ら

1  被告らは、各自、原告松島キクヨ(以下「原告キクヨ」という。)に対し金八三一万三、七一七円、原告松島登美子(以下「原告登美子」という。)及び原告横田和子(以下「原告和子」という。)に対し、それぞれ金五八八万一、三一七円及び右各金員(ただし、右金八三一万三、七一七円についてはその内金五八八万一、三一七円)に対する昭和五一年七月五日から完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告らの負担とする。

二  被告ら

1  原告らの請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告らの負担とする。

第二当事者の主張

一  原告らの請求原因

1  本件事故の発生

被告中村隆介(以下「被告隆介」という。)は、昭和五一年七月四日午前一時一二分ころ長崎市上小島二丁目四番四号先路上において、自動二輪車(長崎市さ五八四四号、以下加害車という。)を時速約五〇キロメートルで酒酔い運転中、酔いのため前方注視が困難となり、前方の下水道(道路左側端より一・二〇メートル)のマンホール(口直径〇・六メートル、深さ一・一メートル)内で作業中の亡松島喜代次(以下「亡喜代次」という。)に自車を衝突させ、よつて、亡喜代次を頭蓋内出血により同日午前一時二〇分ころ同所において死亡させた。

2  被告らの責任原因

(一) 被告隆介について

被告隆介は、加害車を運転するに当たり、当時、酒に酔い正常な運転ができない状態であつたから、加害車の運転をさし控えるべき注意義務があつたのにこれを怠り、あえて、加害車の運転を開始した過失により前記のとおり本件事故を惹き起こしたものであるから、民法七〇九条により亡喜代次及び原告らが被つた後記損害を賠償すべき義務がある。

(二) 被告中村熊雄(以下「被告熊雄」という。)について

被告隆介は、被告熊雄の子であつて、本件事故当時一六歳の未成年者であつたから、被告熊雄は、親権者として、被告隆介の行為につき監督義務を負つていたものというべきところ、被告隆介には中学生時代から熊雄所有の自動二輪車を乗り回したり飲酒するなどの非行行為があり、それに関連して窃盗事犯を起こし、本件事故当時保護観察処分に付されていたのであるから、飲酒や自動車等の運転については一層厳重に監督すべき義務を負つていたにもかかわらず右義務を怠り、被告隆介が無断で加害車を購入して乗り回していたのを漫然放任していたばかりか、自己の精肉業の手伝いにも利用していたものであり、本件事故の発生は、右義務の懈怠が重要な一因を成しているのであるから、被告熊雄は、民法七〇九条もしくは自倍法三条により亡喜代次及び原告らが被つた後記損害を賠償すべき義務がある。

(三) 被告佐藤末広(以下「被告末広」という。)について

被告末広は、本件事故当時一六歳の未成年者で、被告隆介とは近隣に居住し、時たま飲酒することもあるなどの親しい友人であつたが、昭和五一年七月三日午後八時三〇分ころ、被告隆介から長崎市茂木町所在の羽衣寿司店に呼出され、共に飲酒のうえ、被告隆介が加害車を酒酔い運転しようとするのを阻止することなく同車の後部座席に乗り、その運転を容認すると共に、同所より約七キロメートル離れたスナツク愛将などに赴き、数軒の店を共に飲み回つた後、翌日午前一時ころ被告隆介が同市本石灰町思案橋交差点において加害車を運転するにあたり当時既に酒に酔い正常な運転ができない状態であつたから、相互に注意し合い自動二輪車の運転をさし控えさせるべき注意義務があつたにもかかわらず、これを怠り、漫然とその運転を容認して加害車の後部座席に同乗してこれを利用し、同所から約七キロメートルの距離にある同市茂木町へ向け走行中、前記のとおり本件事故が発生したのであるが、本件事故は、被告末広の右過失がその一因となり発生したものであり、右過失と本件事故との間には相当因果関係があるから、このような場合、被告末広は、自賠法三条もしくは民法七〇九条により亡喜代次及び原告らが被つた後記損害を賠償すべき責任がある。

3  原告らの身分関係

原告キクヨは、亡喜代次の妻であり、原告和子及び同登美子は、亡喜代次の実子であるから、亡喜代次の遺産は、原告らがその法定相続分に従い三分の一あて共同相続した。

4  損害

(一) 亡喜代次

(1) 逸失利益

亡喜代次は、本件事故当時五一歳であり、星野組の人夫として稼働し、平均月額金一六万九、一八六円を得ていた外、農業収入として妻と共に稼働して年額金一六〇万円以上の収入を得ていたが亡喜代次の農業における寄与率は七五パーセントを下ることはないから、農業による収入は年額金一二〇万円、月額にして金一〇万円を下ることはなかつたから、亡喜代次の平均月額収入は結局合計金二六万九、一八六円となるところ、亡喜代次は、本件事故に遭わなければ六七歳までは就労可能であり、この間右程度の収入を得ることができたはずであるのに、本件事故による死亡のため右収入を失つたのであるから、同人の生活費として収入の三五パーセントを控除し、月毎複式のホフマン方式により年五分の割合による中間利息を控除してその逸失利益の現価を求めると、金二、四六四万三、九五一円となる。

(2) 慰藉料

亡喜代次は、深夜稼働中に被告隆介の飲酒遊興のはての酒酔い運転により死亡させられたものであり、右に対する慰藉料は金二〇〇万円が相当である。

(3) 原告らの相続

原告らは、それぞれ前記相続分に従い亡喜代次の右損害を各金八八八万一、三一七円ずつ相続した。

(二) 原告ら

(1) 慰藉料

原告らは、本件事故により、夫あるいは父たる亡喜代次を失ない、そのため甚大な精神的苦痛を被つたが、右苦痛に対する慰藉料は、原告キクヨについては金三〇〇万円、原告登美子及び同和子につき、それぞれ金二〇〇万円が相当である。

(2) 弁護士費用等

原告キクヨは、本件事故により亡喜代次の診断治療費等金三万二、四〇〇円、葬儀費用金四〇万円、弁護士費用金一〇〇万円、合計一四三万二、四〇〇円の損害を被つた。

5  よつて、被告ら各自に対し、原告キクヨは、前記(一)、(二)の損害額の合計金額から、受領した自賠責保険金五〇〇万円を控除した金八三一万三、七一七円、原告登美子及び同和子は、それぞれ前記(一)、(二)の損害額の合計金額から、受領した自賠責保険金五〇〇万円を控除した金五八八万一、三一七円及び右各金員(ただし、金八三一万三、七一七円については弁護士費用等の損害を控除した内金五八八万一、三一七円)に対する本件不法行為時後である昭和五一年七月五日から完済に至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。

二  被告熊雄及び同隆介の答弁

1  請求原因1の事実は認める。

2  同2の(一)の事実は認める。

同(二)の事実中、被告隆介が被告熊雄の子であり、本件事故当時一六歳であつたこと及び被告熊雄が被告隆介の親権者としての一般的監督責任を有していたことは認めるが、その余の主張は争う。即ち、

仮りに、被告熊雄が被告隆介に対する一般的監督責任を懈怠した事実が存するとしても、そのことと本件事故との間に相当因果関係がないのみならず、被告隆介は、本件事故当時、既に責任能力を有していたから、本件につき損害賠償責任が生じるのは当然であるが、被告熊雄に賠償責任を肯定することは民法七一二条及び同法七一四条の趣旨を没却することになるから許されない。蓋し、本件の如き事案において右損害賠償責任が肯定されるためには、親権者が未成年の子の運行に関して、一定の支配権能を有し、または運行により利益を得ていることが必要であると解すべきところ、本件加害車は、被告隆介が自己の給料により購入し、その登録も同被告名義となつており、自動車保険金やガソリン代等の経費も同被告が負担し、また被告熊雄経営にかかる精肉店の営業用に加害車が使用されたことは一度もなく、専ら被告隆介の遊興用に使用されていたから、被告熊雄は、本件加害車を管理、保管する権能を全く有しておらず、同車の運行支配並びに運行利益を取得する地位になかつたことが明らかだからである。

3  同3の事実は認める。

4  同4(一)(1)の事実中、本件事故当時亡喜代次が満五一歳であつたことを認めるが、その余は不知。同(2)、(3)の主張は争う。同(二)(1)の主張は争う。同(2)の事実は不知。

5  同5の事実中、原告らがその主張のとおり自賠責保険金を受領したことは認めるが、その余の主張は争う。

三  被告末広の答弁

1  請求原因1の事実は認める。

2  同2(三)の事実中、被告末広の年齢、飲酒状況、同被告と被告隆介との関係は認めるが、その余の事実は否認する。

3  同3、4、5の事実に対する認否は、被告熊雄及び同隆介の答弁と同様である。

第三証拠関係〔略〕

理由

一  請求原因1(本件事故の発生)、同3(原告らの身分関係)の事実は、全当事者間に争いがない。

二  そこで、請求原因2(被告らの責任原因)について判断する。

1  被告隆介について

同2(一)の事実は、原告らと被告隆介との間において争いがなく、右事実によれば、同被告は原告らに対し、民法七〇九条により、原告らの後記損害を賠償すべき義務がある。

2  被告熊雄について

請求原因2(二)の事実中、被告隆介が本件事故当時一六歳の未成年者で、被告熊雄の子として同被告の親権に服していたことは、原告らと被告熊雄との間において争いがないが、およそ未成年者が不法行為により他人に損害を加えた場合、この未成年者が責任能力を有するときでも、監督義務者の監督上の不注意と損害の発生との間に相当因果関係が認められるときは、監督義務者は民法七〇九条による不法行為責任を負うものと解すべきところ、これを本件についてみるに、被告隆介は、本件事故当時その年齢からして既に責任能力を有していたものと認められるが、成立に争いがない甲第一〇号証の一ないし一五、同第一一号証の一ないし二六、被告隆介本人尋問の結果により成立を認めうる乙第一ないし第三号証証人吉田菊寿の証言、被告熊雄、被告隆介各本人尋問の結果及び弁論の全趣旨によれば、被告隆介は、すでに中学生時代から喫煙や飲酒などの行為があり、また被告熊雄所有の自動二輪車を無免許で乗り回すなどしていたが、中学校卒業の頃には、数人の友人と自動二輪車を盗んで乗り回すことを計画したり、それに関連して、自宅の隣りの薬局に侵入して窃盗をするに至り、そのときは、家庭裁判所で不処分の決定を受けたこと、被告隆介は、高校入学後、一学年生の二学期頃から怠学して市内の喫茶店やダンスホールなどに出入りするようになり、そのため、小使銭ほしさに深夜他人の家に侵入して金員を窃取し、再び補導されたが、親権者の被告熊雄が被告隆介の監護について充分意をはらう旨誓約したこともあつて保護観察処分に処せられたこと、被告隆介は、保護観察中にもかかわらず、深夜まで夜遊びをしたり、未成年者であるのに飲酒喫煙したり、飲酒のうえ自動二輪車を運転するなどの行為があり、自己反省と自覚の深化が見られず、その生活態度に改善がみられなかつたが、そのうち両親に無断で加害車を購入して乗り回すようになつたこと、被告熊雄は、右購入の事実を知つてからもこれを黙認し、その使用ないし運転上の安全については格別の注意を与えたことがなかつたこと、右のように放任され、かつ、甘やかされた生活環境のなかで、被告隆介は、遵法精神が全く養なわれないまま、昭和五一年七月三日午後八時三〇分ころ、長崎市茂木町所在羽衣寿司店で飲酒のうえ、友人を呼出し、さらに飲酒遊興のため、約七粁はなれた地点まで加害車を運転して行き、クラブやスナツクなどで深夜まで飲酒して回り、その帰途本件事故を惹き起したこと、以上の事実が認められ、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。

右認定の事実関係からすると、被告熊雄は、被告隆介が保護観察中の身で、以前からも未成年者でありながら喫煙、飲酒する等生活態度が良くなかつたところから、親権者として善行を保持するよう常に注意を与えて遵法精神を喚起し、いやしくも飲酒運転することのないように厳に監督すべき注意義務があつたものというべきところ、漫然と被告隆介を放任して甘やかし過ぎたため、同被告の遵法精神を十分養うことができず、そのため本件の飲酒運転による死亡事故を惹き起こしたものと認めるを相当とするから、被告熊雄の右監督義務の懈怠と本件事故との間には相当因果関係があるものと認むべきである。したがつて、被告熊雄は、民法七〇九条により、原告らの後記損害を賠償すべき義務がある。

3  被告末広について

請求原因1、2、(三)の事実中、被告末広が、本件事故当時一六歳の未成年者で、被告隆介と親友であつたこと、被告末広は、被告隆介から呼出されて共に飲酒することになり、場所を変えて飲酒等をするため、被告隆介運転の加害車の後部座席に同乗中、前記一記載のとおり本件事故の発生をみたことは、原告らと被告末広との間において争いがないところ、本件の全証拠によつても、被告末広が本件加害車について、その運行を支配していたことを認めることができず、また、飲酒運転しようとする被告隆介に対して、原告ら主張のようにこれを制止すべき法律上の注意義務を負わせしめるに足る実質的な事実関係も認ることができないから、原告らの被告末広に対する損害賠償請求は理由がない。

三  次に、被告隆介及び被告熊雄が賠償すべき原告らの損害額について考察する。

1  亡喜代次について

(一)  逸失利益

亡喜代次は、本件事故当時五一歳(大正一五年五月二五日生)の男子であつたことは、当事者間に争いはない。

成立に争いのない甲第一号証の三〇、第四ないし第七号証、第九号証、証人松島清の証言により成立の認められる甲第八号証、同証言及び弁論の全趣旨によれば、亡喜代次は、妻の協力を得て農業を営む傍ら、農業のあい間に星野組の人夫として稼働し、昭和五一年三月から同年六月末日まで月額平均金一五万四、二一四円の収入を得ていたことが認められたが、人夫としての稼働は、かなりの重労働であるから、その就労可能年数は六三歳までと認めるのが相当であるから、同人の生活費として、原告らが自陳する三五パーセントを控除して、右人夫としての収入に関する逸失利益を算定すると(ホフマン式の月毎方式によつて中間利息を控除する。)、金一、一二二万五、六二六円となる。

(154,214円×(1-0.35)×111.9885=11,225,626円

さらに、農業収入については、右掲の各証拠によると、亡喜代次は、妻とともに年額少なくとも金一六〇万円程度の収入は得ていたものと認められ、また、亡喜代次が農業の中心となつて働き、妻キクヨが病弱であつたこと等を考慮すると、亡喜代次の農業への実質的寄与率は、七〇パーセントであつたと認めるのを相当とするから、農業の収入は、結局少なくとも年額金一一〇万円を下ることはなかつたものと認められる。そして、農業については、六七歳まで就労可能であると認められるから、生活費として前同様の割合を控除して、農業収入に関する逸失利益を算定すると(ホフマン式の年毎複式による。)、金八二四万八、四五四円となる。

(1,100,000円×(1-0.35)×11.5363=8,248,454円)

従つて、亡喜代次の逸失利益は、右の金一、一二二万五、六二六円と金八二四万八、四五四円の合計金一、九四七万四、〇八〇円となる。

(二)  慰藉料

亡喜代次は、一家の支柱として深夜稼働中に、被告隆介の酒酔い運転の一方的過失により死亡したもので、本件全証拠により認められる一切の事情を斟酌するとき、亡喜代次の慰藉料は金二〇〇万円を下らないものと認めるものを相当とする。

(三)  相続関係

原告らが、各自三分の一の割合で亡喜代次の遺産を相続したことは当事者間に争いがないから、原告らは、亡喜代次の右逸失利益及び慰藉料をそれぞれ金七一五万八、〇二六円あて相続したことになる。

2  原告らの慰藉料

前示認定のとおり、原告キクヨは、亡喜代次の妻であり、同登美子、同和子は、亡喜代次の子であり、原告らが亡喜代次の死亡により甚大な精神的苦痛を被つたことは想像するに難くないところ、その他本件全証拠により認められる一切の事情を斟酌すると、原告らの右精神的苦痛に対する慰藉料は、原告キクヨについては金三〇〇万円、原告登美子、同和子については各二〇〇万円を下らないものと認めるものが相当である。

3  葬儀費用等の損害

成立に争いのない甲第四ないし第五号証によれば、原告キクヨは、亡喜代次の診断治療等の費用として金三万二、四〇〇円葬儀費用として金四〇万円、右合計金四三万二、四〇〇円を支払つたことが認められるが、これは本件事故による支出として相当であると認められる。

4  弁護士費用

原告キクヨは、本件原告訴訟代理人に本訴訟の委任をしたが、本件事案の内容、請求認容額その他本訴にあらわれた一切の事情を考慮すると、本件事故と相当因果関係にある損害として被告らに負担させるべき費用としては、金一〇〇万円が相当である。

四  ところで、原告らは、自賠責保険金から、それぞれ金五〇〇万円あて受領していることは当事者間に争いがないので、被告熊雄及び被告同隆介は、各自、原告キクヨに対し、右損害額の合計金一、一五九万〇、四二六円から金五〇〇万円を控除した金六五九万〇、四二六円、原告登美子、同和子に対し、それぞれ、右損害額の合計金九一五万八、〇二六円から金五〇〇万円を控除した金四一五万八、〇二六円及び右各金員のうち、原告キクヨの損害金については右金員から前記弁護士費用を除いた金五五九万〇、四二六円、原告登美子、同和子の損害金については右金四一五万八、〇二六円に対する本件不法行為時後である昭和五一年七月五日から完済に至るまでいずれも民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払義務がある。

五  よつて、原告らの被告隆介及び同熊雄に対する請求は、右認定の限度で理由があるからこれを認容し、同被告らに対するその余の請求及び被告末広に対する請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき、民事訴訟法八九条、九二条、九三条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 鐘尾彰文 木村修治 吉田京子)

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